今日は、前回の記事「メディケア受給者は法律で守られています!①-CMS 資料『メディケアのプランおよび個人情報保護に関するクイックファクト』」に続いて、もう1つ、メディケア受給者が法律で守られている!ことに関連する、重要な書類をご紹介します。
その書類とは、スコープ・オブ・アポイントメント・フォーム/Scope of Appointment Formと言います。この時期、この書類、ほんとうに重要です!
1.スコープ・オブ・アポイントメント・フォームとは
スコープ・オブ・アポイントメント・フォーム/Scope of Appointment Form という書類があります。
これは、私たちエージェントがメディケア受給者にお会いして、メディケア・アドバンテージ・プランとプリスクリプション・ドラッグ・プランの説明をする前に、メディケア受給者にサインをしていただく書類です。
そう、、プランについて説明をする前に、なんです。
例えばこれ↓は、United Healthcare という保険会社のスコープ・オブ・アポイントメント/Scope of Appointment Form です。
内容はと言うと、、
メディケアは、メディケア受給者やその代理人と面談をする前に、ライセンスを持ったセールス・レプリゼンティティブにこの用紙を利用して、その面談が、あなたが興味があるプランと商品にのみフォーカスしたものであることを保証することを要求しています。
そのライセンスを持ったセールス・レプリゼンティティブと話をしたい物にチェックを入れてください。
このフォームにサインをすることによって、あなたはライセンスを持ったセールス・レプリゼンティティブと会い、ここでチェックした商品について話をすることを同意したことになります。
ライセンスを持ったセールス・レプリゼンティティブは、メディケア・プランによって雇用されたか、もしくはプランと契約を交わしていて、あなたのプランへの加入に基づいて支払いを受けます。彼らは合衆国政府で働いているわけではありません。
そして、最もご理解いただきたい点はこちら↓です。
Signing this form does NOT affect your current or future enrollment in a Medicare plan, enroll you in a Medicare plan or obligate you to enroll in a Medicare plan.
このフォームにサインをすることは、現在の加入中のプランや将来加入するプランには影響するものではなく、また、メディケア・プランへ加入するものでもなければ、加入を義務付けるものでもありません。
このフォームの意味が、ご理解いただけましたでしょうか。私たちエージェントは、このフォームで同意されたプランのみしか、お客様にご案内することができないのです。
別の言い方をすると、この書類にサインをいただかなければ、私たちエージェントは、お客様とFace-To-Face で、メディケア・プランをご案内することはできないんですね。このフォームは、お客様からの許可書。と思っていただいて良いと思います。
文言は異なりますが、どの保険会社のSOA/Scope of Appointment Formも、同じ事を意味していて、これは、フェデラルの健康保険管理機関であるCMS(センター・フォー・メディケア&メディケイド・サービス/Center for Medicare & Medicaid Servises)の決まりです。
なので、私も必ずお客様にプランをご案内する際にはこの書類にサインを頂いています。
2.SOAができた背景
なんで説明の前に書類にサインなんてさせんの⁉
警戒するじゃん!
と、皆さん思うかもしれません。ごもっともです!
どうしてこういうルールになったかを知る為には、ちょっとメディケアの歴史を遡って理解する必要がありますね。簡単に説明します。
メディケアは、2006年に初めて、一般的なプリスクリプション・ドラッグをカバーするプランをスタートさせたのですが、その前は、40年以上、メディケアは医療のカバレージのみしか提供していませんでした。
その時、一般的な薬が必要だった人は、、たぶん、、、特別な薬が必要な人の何十倍も、もしくは何百倍もいたと思いますが、、、そのものすごーくたくさんの人達が、2006年のプリスクリプション・ドラッグ・プランの登場の時に、一斉にドラッグ・プランにサインアップしました。
この時に、、、「私もドラッグ・プランに加入しなきゃ!」「私も、私も!!」って言うメディケア受給者の方の心理を利用して、彼らが必要としていない生命保険やその他の金融商品をどさくさに紛れて売ってしまおう!という悪いエージェントやブローカーが現れたんですね。それで、
なんか、、
知らないうちに、、、
欲しかったプランでないプランの申込書類に、
サインしてしまっていた!涙
という状況になってしまったメディケア受給者が続出した事が、このスコープ・オブ・アポイントメント・フォームの背景にあります。
メディケア受給者の方に是非覚えておいていただきたい事は、メディケアの話をしながら、巧みな話術で別の商品へと話題をすり替えて、そのまま契約書にサインをさせる。なんてことは、私たちエージェントは許されていません。あくまでもSOAで同意したメディケア商品のみです。
もしも、エージェントとの面談をしているうちに、他のタイプの商品、例えば生命保険や年金などの話も聞きたいと思ったら、その時はメディケアのミーティングを終わらせた後に、そちらの商品の話に移ってください。その時には、その商品に関するミーティングや契約は、全てあなたの自己責任になりますので、ご注意ください。
信頼関係のスタート
実際に、悪いエージェントがいることは事実で、そういった悪いエージェントがいる為に、メディケア受給者の方も、私も、余分なペーパーワークをしなければならないのは全く嬉しくないですが、考え方を変えると、この書類1枚でメディケア受給者が守られると思えば、無駄ではないですね。
私も、あるメディケア受給者にこのフォームの説明をして、サインをいただけますか?とお願いしたところ「そんなものにサインなんかするか!あんたがサイン欲しいだけだろ!」と言って、突然立って帰られた方がいらっしゃいました。びっくりしましたが、用心深くて結構だと思いました。
スコープ・オブ・アポイントメント・フォームは、メディケア受給者がエージェントに出す『メディケア商品についてのあなたの話を聞いても良いです』という許可書です。まず、許可を得てから話を始めるので、これが良い信頼関係の始まりになるかもしれません。私は個人的にそう考えて、このフォームのひと手間をポジティブな意味にとらえています。
『保険』『エージェント』『ブローカー』と聞くと、勧誘されるかも!?何か売りつけられるかも⁉と警戒する方もまだいらっしゃるかもしれませんが、私のようなインディペンデントのエージェントは、そういう事はしません。興味のない方に近づき無理やり話を聞かせて勧誘するのは、ハッキリ言って時間の無駄です。そういうアプローチをするのは、保険会社やブローカレージ会社に雇われてノルマを課せられているエージェントだけではないかと思います。
このオープンエンロールメントの間、メディケア受給者の皆さんが、良いエージェントに会いうまくプラン選択されることをお祈りしておりますね。私の方でもプラン選択のお手伝いができますので、何かご質問などがありましたら、お気軽にご連絡くださいね!