昨日から、メディケアの年に一度のオープン・エンロールメントが始まりましたが、そもそも皆さんは、メディケア/Medicare がどういうプログラムなのかご存じでしょうか。
アメリカに住む日本人の多くの方が聞いたことがあると思いますが、今まで自分には関係がなかったので何のことなのか分からない。と言う方も多いと思います。
今、この記事を読んでいる方は、おそらくメディケアの受給がもうすぐ開始になる方や、ご家族がメディケアの受給を受けている方、もしくは既にメディケアの受給を受けているが、よく分かっていない。という方かな・・と想像します。
そう言った皆さまの為に、今日は、メディケアがどういうプログラムかをここで簡単に、大まかに説明していきたいと思います。
メディケア/Medicareとは?
メディケアとは、65歳以上の方、もしくは65歳以下の障害者の方、またはESRDの方(End-Stage Renal Disease、腎臓の病気で透析や移植が必要な方)の為のアメリカ合衆国の健康保険プログラムです。
メディケアは州の管轄のものではなく、アメリカ政府のプログラムで、申込みはソーシャル・セキュリティ・オフィスが管理しています。
メディケアの受給が認められると、このような↓カードが送られてきます。
このカードに、「Hospital」(Part A)と「Medical」(Part B)と記載されていますが、メディケアには4つのパートがあり、それぞれのパートでカバーするの医療費の内容が異なります。
その中でも、基本のカバレージがパートAとパートBで、この2つをあわせて
オリジナル・メディケア/Original Medicare
と言います。
このオリジナル・メディケアのカバレージを簡単に言うと、パートAが入院で、パートBが通院での医療費のカバレージです。
●パートA : 入院費用のカバレージ
・入院
・リハビリ施設でのケア(Skilled Nursing Facility(SNF))
・ホスピス・ケア
・在宅ケア
●パート B :外来での医療費カバレージ
・医師やその他医療プロバイダーからのサービス
・外来ケア
・在宅ケア
・医療機器
・予防サービス
メディケア・アドバンテージ/Medicare Advantageとは?
実は、今、上で説明したオリジナル・メディケアを、民間の保険会社が国から報酬をもらってメディケアに代わってベネフィットを提供するものを 『メディケア・アドバンテージ/Medicare Advantage 』と言い、このメディケア・アドバンテージが、パートCになります。
どの保険会社のメディケア・アドバンテージ・プランも、必ず最低限オリジナル・メディケアと同じベネフィットを提供しなければならない決まりになっていて、プランによっては更に、それ以上のベネフィットが追加されているものも多くあります。
●パート C :メディケア・アドバンテージ
・パートAとパートB 、さらに通常、パートD(プリスクリプション・ドラッグ・カバレージ)も含まれている
・メディケア認可の保険会社によってサービスが提供される
・保険会社独自のサービスや追加費用を支払うことによって受けられる追加サービスもある
実は、現在売られているメディケア・アドバンテージ・プランの多くにパートDが付随されています。
そのメディケア・パートDとは何かというと、これは薬、ドラッグ/Drug のカバレージで、プリスクリプション・ドラッグ・プラン/ Prescription Drug Plan(PDP) と言います。
ドラッグの“D”で、覚えやすいかと思いますね。
●Part D :処方箋薬に対するカバレージ
・処方箋薬
・メディケア認可の保険会社によって提供
・処方薬のコストを下げる補助や、将来の高額処方箋薬費用を防ぐことができる
つまり、今どきのメディケア・アドバンテージ・プランを持っていると、パートA, パートB, パートD の3つのカバレージを持っていることと同じになります。
アメリカ全土のメディケア受給者のうち、3割程度の方が、このメディケア・アドバンテージプランを持っていると言われていて、残りの方はオリジナル・メディケアか、それ以外の何らかの状況で、パートAのみという方もたくさんいらっしゃいます。
この、メディケア・アドバンテージの選択は全くの任意で、メディケア受給者の健康状況と保険ニーズ、そして、その方の価値観によって、メディケア・アドバンテージの選択がベストな場合もありますし、そうでない場合もあり、一概には言いきれません。
メディケア・サプリメント/Medicare Supplementとは?
そして、メディケア・アドバンテージと同様に、メディケア受給者の方が加入できるプランとして、メディケア・サプリメント/Medicare Supplement という種類のプランもあります。
メディケア・サプリメントは、オリジナル・メディケアだけではカバーしきれない部分をカバーする、つまり、ギャップを埋める事から、
『メディギャップ・ポリシー/Medigap Policy』
とも言われています。
メディケア・サプリメントは、さらにカバレージ内容が異なるプランがいくつもあり、それぞれはプランA、プランB、プランC・・・と標準化されています。
これ↑は、2019年のメディケア・ハンドブック『Medicare&You』の70ページに掲載されている、メディケア・サプリメントの表です。
合衆国の健康保険プログラム『メディケア』のパートA、パートB・・と、メディケア・サプリメント/Medicare Supplement のプランA、プランB・・・結構ごっちゃになりますので、きをつけてくださいね。
メディケア・サプリメントについては、こちらの記事も参考になさってください。
メディケア・アドバンテージとメディケア・サプリメントは、内容が全く異なるもので、比較できるような物ではないのですが、どちらか片方しか持てないので、『どちらがイイ?』という風に、同じレベルの選択肢として挙げられます。
どちらが良いかは一概に言えるものではなく、両者に全く違った特徴がある為、その方それぞれの状況や価値観を踏まえて、しっかりと内容を理解してから加入されることをお勧めします。
メディケアがどういうプログラムか、だいたいご理解いただけましたでしょうか。
サプリメントとアドバンテージ、どちらかで迷われた場合は、ご相談を承りますので、是非、お気軽にご連絡ください! もちろん、その他のご質問も大歓迎です!