アメリカ合衆国政府が提供する低所得者向け健康保険プログラム、メディケイド/Medicaid とオバマケア/Obamacareの関連について説明していきます。
メディケイドとオバマケア – Medicaid Expansion
メディケイドとは?
メディケイド/Medicaid とは、フェデラルとそれぞれの州の両方からの資金によって成り立っている、低所得者、特に妊婦、子供、65歳以下の障害者等が利用できる健康保険プログラムです。
メディケイドのルールはそれぞれの州によって異なり、合衆国政府はそれぞれの州に特定の割合で資金を提供します。その資金額は州によって異なります。
こちら↓がメディケイドのウェブサイトです。(画像をクリックするとこのウェブサイトに移動します。)
メディケイドとオバマケア – Medicaid Expansion
オバマケアの法律は、それぞれの州にメディケイドの枠を拡大するように要求し、その要求にこたえた州は、それによって州の財政を悪化させないようにその費用の90%を合衆国政府からもらえることになりました。これをメディケイド・エクスパンション/Medicaid Expansion といいます。
ところが中には、この合衆国政府からの資金ではメディケイド枠を拡大後の運営は無理だと判断し、メディケイド枠の拡大をしないことを選択した州が出てきました。
そのメディケイド枠の拡大をしなかった州は次の16州です。
Alabama/アラバマ
Florida/フロリダ
Georgia/ジョージア
Idaho/アイダホ
Kansas/カンザス
Maine/メイン
Mississippi/ミシシッピー
Missouri/ミズーリ
Nebraska/ネブラスカ
North Carolina/ノースカロライナ
Oklahoma/オクラホマ
South Carolina/サウスカロライナ
Tennessee/テネシー
Texas/テキサス
Utah/ユタ
Wisconsin/ウィスコンシン
次の32州は、オバマケア/Obamacareのメディケイド・エクスパンション/Medicaid Expansion を採用した州です。
Alaska/アラスカ Michigan/ミシガン
Arizona/アリゾナ Minnesota/ミネソタ
Arkansas/アーカンソー Montana/モンタナ
California/カリフォルニア Nevada/ネバダ
Colorado/コロラド New Hampshire/ニューハンプシャー
Connecticut/コネチカット New Jersey/ニュージャージー
Delaware/デラウェア New Mexico/ニューメキシコ
District of Columbia/コロンビア New York/ニューヨーク
Hawaii/ハワイ North Dakota/ノースダコタ
Illinois/イリノイ Ohio/オハイオ
Indiana/インディアナ Oregon/オレゴン
Iowa/アイオワ Pennsylvania/ペンシルベニア
Kentucky/ケンタッキー Rhode Island/ロードアイランド
Louisiana/ルイジアナ Vermont/バーモント
Maryland/メリーランド Washington/ワシントン
Massachusetts/マサチューセッツ West Virginia/ウェストバージニア
そして、こちらの3州は、メディケイド枠の拡大を現在、協議している州です。
South Dakota/サウスダコタ
Virginia/バージニア
Wyoming/ワイオミング
こちらの地図のオレンジの州は、2016年1月21日現在のメディケイド・エクスパンションを採用していない州です。
どうしてここでこの話をここでするかというと、このそれぞれの州の決断が、個人の健康保険の選択に、特に所得の低い方には大きくかかわってくるからです。それを次に説明していきます。
メディケイド・ギャップ/Medicaid Gap
オバマケアという法律では、マーケットプレイスを通じて健康保険の申込みをすると、世帯収入の額によってオバマケアの補助金が適応されることになります。その収入のガイドラインは、フェデラル・ポバティ・レベル/Federal Poverty Levelの100% – 400%となっています。この収入帯に落ちる世帯は補助金を貰って、安く健康保険を持つことができるのです。
一方で、もともとのメディケイドに適応される収入レベルは、フェデラル・ポバティ・レベル(FPL)の0から50%ほどでした。この低所得の方たちは確実にメディケイドでカバーされ、医療がタダかもしくは非常に安い価格で受けられることになります。
ここで・・・1つの疑問が浮かびます。FPLの50%から100%の収入レベルの方はどうなるのでしょうか?
オバマケアのメディケイド・エクスパンションは、このもともとの50%から138%への大幅拡大です。拡大を選択した州に住む大人で、FPLの50%から100%の収入の方はメディケイドが利用できることになりました。一方で、なんと、「メディケイド・エクスパンション/Medicaid Expansionを採用しない」という選択をした州では、この所得帯に落ちる方には加入できる健康保険が何もなくなってしまうことになりました。これをメディケイド・ギャップ/Medicaid Gapと言い、メディケア・エクスパンションとともに大きな問題になっています。
通常、低所得家庭の子供はチップ(CHIP/Children’s Health Insurance Program)でカバーされるので、この影響を受けるのはこの所得帯の大人のみです。
この上の図は、Kaiser Family Foundationの 「The Coverage Gap: Uninsured Poor Adults in States that Do Not Expand Medicaid – An Update」の記事からで、メディケイド・ギャップが良く分かる図です。
低所得者も保険が持てるようにする。というのがオバマケア/Obamacareの目的の1つでしたが、このメディケイド・ギャップに落ちるものすごい数の低所得の方たちは、メディケイドも利用できなければ、補助金ももらえない。まして、プライベートでの健康保険を買うなんて経済的にできるわけがありません。結局、選択肢はゼロです。なんて皮肉なんだろう・・とやりきれない思いになりますね。
関連記事:「オバマケアとは?- What is Obamacare?」
メディケイド・エクスパンションを採用しなかった州にお住まいの方で、このメディケイド・ギャップに落ちる方は、オバマケアの個人の義務である健康保険への加入が免除になります。
関連記事:「オバマケア・個人の義務とタックスペナルティ – Obamacare Individual Mandate and Tax Penalty」
もしも、まだ自分の州のメディケイドがどうなっているのか、自分のチョイスが何なのか分からない方は、是非一度確認されることをお勧めします。
メディケイドの申込み方法
以前までは、メディケイドへの申込みは、収入の額に加えて、妊娠している。や、障害がある。といった特定の状況におかれていることが必要でしたが、オバマケアのメディケイド枠拡大を採用した州では、現在は、フェデラル・ポバティ・レベル(FPL)の 133%以下がメインの条件になっています。
このFPLのガイドラインは、オバマケアの法律では133%となっていますが、法律の新しい計算方法では138%になります。どちらにしても、その州によるようです。この計算は複雑ですので、お住まいの州のメディケイドオフィスへ問合わせをするか、健康保険マーケットプレイス/Marketplace を通じて、メディケイドに適応するかどうか確認されることをお勧めします。
こちらが、フェデラルの健康保険マーケットプレイスのウェブサイトです。(画像をクリックするとこのウェブサイトに移動します。)
関連記事:「オバマケア・健康保険マーケットプレイスとは?- What is Health Insurance Marketplace」