メディケア/Medicare Q&A - 腎臓障害(ESRD)のある方のメディケア・プランは？ | US Health Insurance Support Blog for Japanese

先日、メディケアを受給されている方から、次のようなご質問をいただきました。

ロサンゼルス在住の腎不全で腹膜透析をしているものです。

現在障害者ということでメディケアパートAとBとD(薬用)持っています。

パートC(アドバンテージ)もしくはサプリメントを取りたいと考えています。理由は近い将来腎移植をしていたいと考えています。

アドバンテージが良いのかサプリメントが良いのかわかりません。

今お世話になっているドクターを変えずにそしてお世話になっている透析クリニックも変えずに腎臓移植のトランスプラントセンターもカーバーの為のセカンドインシュランスとしてアドバンテージかサプリメントかどちらが良いのでしょうか？

今日は、このご質問に対する私の回答をここでシェアしていきたいと思います。

1．65歳未満でESRDの方のメディケア・アドバンテージ・プラン

2．65歳未満でESRDの方のメディケア・サプリメント・プラン

3．メディケア・アドバンテージとメディケア・サプリメント、どちらが良い？

1．65歳未満でESRDの方のメディケア・アドバンテージ・プラン　- SNP/Special Needs Plan

メディケアは65歳以上の方と、65歳未満の特定の健康状況や障害のある方が受給できる、アメリカ合衆国の健康保険プログラムです。今回の質問者様も、その『特定の健康状況』のある方で、これを通常、メディケア業界では、ESRD/End-Stage Renal Disease (腎不全)と言います。

今回、メディケア・アドバンテージ/Medicare Advantageかメディケア・サプリメント/Medicare Supplement に加入したいが、どちらが良いか分からない。というご質問ですが、実はESRDの方が加入できるメディケア・プランは限られています。

どう限られているかを次に説明していきますね。

まず、メディケア・アドバンテージ/Medicare Advantageに関してですが、65歳未満のESRDの方には、普通のメディケア・アドバンテージではなく、メディケア・スペシャル・ニーズ・プラン、Medicare SNP/Special Needs Plan という特別なプランがあります。

メディケアSNPは、特定の健康状況のある方や、メディケイドを受給されている方の為のプランで、通常のメディケア・アドバンテージプランがカバーしなければならない全てのメディケア・サービスをカバーし、更に、それ以上の医療サービスがカバーされることもあります。

メンバーが負担する費用は、通常のメディケア・アドバンテージと同様に、プランによって異なり、保険料やディダクティブル/Deductible があります。

もしも、お手元にメディケアのハンドブック/Medicare Handbook、Medicare & You がありましたら、その巻末にあるプランの一覧を参照してみてください。この下の写真のように、お住いの地域で、どういったSNPがあるのかが確認できます。

2．65歳未満でESRDの方のメディケア・サプリメント・プラン

次に、メディケア・サプリメント/Medicare Supplement についてですが、合衆国の法律は、保険会社に、65歳未満のESRDのあるメディケア受給者にメディケア・サプリメント/Medicare Supplement を販売することを要求していません。一方で、それぞれの州の法律は、その点が大きく異なります。

ですので、お住いの州によっては、65歳未満のESRDの方は、メディケア・サプリメント・プランに加入できないことがあります。実は、カリフォルニアやバーモントがそういった州の一例です。

逆に、多くの州では、メディケア・サプリメント/Medicare Supplement を65歳未満のESRDのにも販売することを要求しています。次にそういった州を一覧にして挙げます。

Colorado	Maine	New Hampshire	Pennsylvania
Connecticut	Maryland	New Jersey	South Dakota
Delaware	Massachusetts	New York	Tennessee
Florida	Michigan	North Carolina	Texas
Georgia	Minnesota	Oklahoma	Wisconsin
Hawaii	Mississippi	Oregon
Illinois	Missouri
Louisiana

残念ながら、今回の質問者様はロサンゼルス在住という事ですので、『保険会社は65歳未満でESRDのメディケア受給中の方にメディケア・サプリメントを販売しなくても良い州』の1つであるカリフォルニアに該当します。

ただし、これが質問者様が加入できるプランがゼロであることを意味しているわけではありません。

保険会社の中には、自主的に65歳未満のESRDの方にもメディケア・サプリメントを販売します！という会社もあります。そういう会社のプランを探して加入する。という最終手段があります。

ただし、その場合に理解していただきたいのは、保険料が高くなると言う点です。

『自主的に65歳未満のESRDの方にもメディケア・サプリメントを販売する会社のプランを探す』という作業は、エージェントを利用するべきですね。上で言った通り、保険料が高くなりますので、なおさら高すぎるプランを販売されないように注意が必要です。

それには、私のような、インディペンデント・エージェントをご利用されることをお勧めいたします。インディペンデント・エージェントとは、通常、多くの保険会社と契約をしていて、その中からお客様にとってのベストを提案できるエージェントです。中にはインディペンデントでも、特定のプランしか販売していないエージェントもいますので、気を付けてください。

3．メディケア・アドバンテージとメディケア・サプリメント、どちらが良い？

最後に、メディケア・アドバンテージとメディケア・サプリメントはどちらが良いか？という点ですが、これはESRDやその他の特別な健康状況にある方でなくても、同じように疑問に思う事だと思います。

この点を判断する為には、きちんと両者の違いを理解する事が必要ですが、特に今回のご質問については、

『今お世話になっているドクターを変えずに、そしてお世話になっている透析クリニックも変えずに、腎臓移植のトランスプラントセンターもカーバーの為のセカンドインシュランスとしてアドバンテージかサプリメントかどちらが良いのでしょうか？』

と言いうハッキリとしたご希望があります。このご希望に応えられるのが、メディケア・サプリメント/Medicare Supplement です。

どうしてかと言うと、メディケア・アドバンテージ/Medicare Advantageには、ネットワークがあり、自分の自由にドクターに掛かることができません。保険会社が決めたネットワーク内の限られたドクターや医療施設にしか行けません。

それどころか、このネットワークにいるドクターは、好きな時にネットワークから抜けることができます。ですので、前回の行った時には全く問題なく診療してもらったのに、急に保険プランのせいでできないと言われた！なんてことも普通に起こりえるんですね。そうなると、そこからまた別のドクターを探すか、メディケア/Medicare なし、つまり全額自費で同じドクターにかかり続けるか。のどちらかになります。病気の治療中には、健康を取り戻すことに集中し、こういった面倒なことにエネルギーを注ぐのは避けたいですよね。

皆さんは、もしも病気になってしまった時に、隣の州にその病気の名医がいることが分かったら、そのドクターに掛かりたくないでしょうか？もともと、メディケア/Medicare は全米どこの州でも受け付けてもらえる保険です。そのメディケア受給者すべてにもともと与えられた素晴らしい権利を、メディケア・アドバンテージ/Medicare Advantageを選択した方は、放棄したことになります。

それから、メディケア・アドバンテージ/Medicare Advantageは、セカンダリーの保険ではありません。オリジナル・メディケア/Original Medicare（Part A & B）を止めてメディケア・アドバンテージ/Medicare Advantage に加入することになるので、何かあった場合の裁量は保険会社によるものです。アメリカ合衆国の機関であるメディケアの裁量には寄りません。

一方のメディケア・サプルメント/Medicare Supplementは、セカンダリーの保険そのもので、メディケアを受け付けるドクターならどこの州にでも行けるという加入者の権利はそのままで、メディケアがカバーしない医療費をカバーするのがメディケア・サプリメント/Medicare Supplementです。ネットワークは関係がないので、保険プランのせいでドクターをあきらめたりする必要は一切なく、好きなように好きなドクターに診てもらう事ができます。

ですので、私の結論としては、65歳未満でESRDの方でも入れるメディケア・サプリメント・プランを探し、まずは、保険料がいくらになるかを確認してみることをお勧めいたします。

以上、大変長くなりましたが、少しでも多くの方の参考になれば光栄です。ありがとうございました！