オバマケアのペナルティを避ける為には、基準を満たす保険を持っている必要がありますが、その基準を満たす保険とは、どんな保険か皆さんはご存じでしょうか。
日本からのVISAでアメリカに滞在されている方の中には、日本の海外旅行保険や雇用主の保険を維持している。という方がたくさんいらっしゃいます。そういう方からはよく、「日本からの保険があるのですが、それでも保険買わないといけないのですか?ペナルティになりますか?」という質問を受けます。そこで、今日は、その質問に答えるオバマケアの基準を満たす保険について説明していきます。
ミニマム・エッセンシャル・カバレージ/Minimum Essential Coverage(MEC)とは
まず、オバマケアの基準を満たす保険のことを、ミニマム・エッセンシャル・カバレージ/Minimum Essential Coverage(MEC)、もしくは、クオリファイド・ヘルス・プラン/Qualified Health Planと言います。
そしてこのミニマム・エッセンシャル・カバレージ/MECとは、次の10項目すべてをカバーする保険を言います。
① ドクタービジットや病院外で受けるテストといった外来患者向けサービス
② エマージェンシー・サービス
③ 入院
④ 妊娠、出産と新生児ケア
⑤ メンタルヘルスや行動医療法を含む薬物乱用に対する治療
⑥ ジェネリックと一部のブランドドラッグを含む処方箋薬
⑦ 事故や怪我から回復する為、または発達障害などの為のリハビリや習慣的なサービス
⑧ 研究所テスト
⑨ 慢性病のケアや予防や健康管理サービス(カイロプラクティックも含む)
⑩ 小児デンタル&ビジョンサービス
妊婦さんからのご相談でよく「妊娠・出産をカバーする保険はありますか?」と聞かれることがありますが、オバマケアではこの↑とおり、妊娠・出産をカバーしなければならないんですね。ですので、通常の健康保険を購入すれば、妊婦さんやこれから妊娠・出産を計画されている方でも大丈夫です。
オバマケアが始まる前は、男性には妊娠や出産のカバレージは当然必要がありませんでしたので、男性の方は「利用しないサービスに対して保険料を払うのはムダだ!」オバマケアってなんてヒドイんだ!と思われるかもしれませんが、実はここが、オバマケアのコンセプトなんですね。
たとえ利用しなくてもこの10項目のカバレージを備えた保険を国民全員が持ち、保険料を皆で支払い、実際にそのカバレージを利用する人の治療費を影でサポートすることで、オバマケアの大きな目的であるアフォーダビリティ/Affordability 、つまり手ごろな価格であること。を実現しよう!というのが狙いです。
また、お子様の基本的なデンタルとビジョンのサービス、例えばデンタルでは、チェックアップやクリーニングと言ったカバレージもミニマム・エッセンシャル・カバレージに付いてきます。お子様がいない方には必要がありませんが、これも、誰もが負担する決まりになっているんですね。
どんな保険がMECに該当するか
では、どんな保険にこのミニマム・エッセンシャル・カバレージ/MECが備わっているか。ですが、次に挙げる保険はこのミニマム・エッセンシャル・カバレージ10項目をカバーする、もしくはオバマケアの基準を満たす保険と言うことができます。
- マーケットプレイスで購入した保険(on-exchange)
- 保険会社へ直接申込みした保険(off-exchange)
- メディケア/ Medicare
- メディケイド/MedicadeとCHIP/Children’s Health Insurance Program
- 雇用主から提供される保険
- グランドファーザー健康保険
- etc
MECでない保険
アメリカで販売している短期の健康保険や、日本で購入してきた海外旅行保険は、通常オバマケアの基準を満たすものではありません。そういった保険は持っていても、万が一の際に高額医療費負担を避けることはできても、オバマケアの個人の義務を果たしていると認められませんので、ペナルティ、罰金を負うことになります。
また、時々「日本の国民健康保険を持っている。」という方がいらっしゃいますが、日本の国民健康保険はこのミニマム・エッセンシャル・カバレージを満たさないので、オバマケアの法律を守っていると言うことはできません。
そもそも、国民健康保険は海外旅行など短期の海外滞在中の医療費はカバーしますが、海外に居住している人は国民健康保険を保持できないことになっていますので、海外生活を隠して国民健康保険をキープしていても、利用することができるかどうかはわかりません。
朗報!オバマケア認定の日本の健康保険
一方で、日本の健康保険でオバマケアの基準を満たすと認められている物もあります。それは、どういう保険かというと、健康保険組合、共済組合又は全国健康保険協会 の健康保険です。もしも、自分が所属する企業がこれらの組合に加入していて、その保険をこちらに来てからもずっと維持している。ということであれば、アメリカの保険を購入する必要も、ペナルティを負うこともないことになります。
これは、2015年3月18に更新されたニューヨークの日本総領事館の発表による情報です。詳しくは、ニューヨークの日本総領事館の記事 「米国医療保険制度改革法の在留邦人への適用について」 を参考にしてみてください。